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医療資源は有限だ2 当直医の仕事
2007年 08月 31日 |
先日の「医療資源は有限だ」の補足。
あちこちのブログを見ていて、もしかして知らない人が多い?と思ったことを書いておく。
医療問題に関心があって、医師のブログなど読んでいる人なら、何を今更感満載だと思うので、スルーして下さい。



まず、夜間、病院にいる医師の数は少ない。
医師は、看護師のような3交代制じゃないからだ。
昼間仕事をした後、その日の当直当番にあたった医師が、病院全体で一人〜数人、夜間も詰めている。
従って、全部の科の医師がいるわけではない。
そんなのは大学病院くらいだ。

ちょっと考えればわかると思う。
例えば、産科医や小児科医は不足が叫ばれて久しい。
一つの病院に、一人しかいないことも希ではない。
むしろ、今ではいるだけマシという状態だ。
その一人しかいない医師が、昼間も働き、夜も当直し…では、いつ寝るのか?
無理だということは誰でもわかるだろう。
そんなことを要求したら、医師は365日病院から出られなくなる。
これは労基法違反だし、人権侵害だ。
第一、そんな疲労困憊した医師に診て貰いたい患者はいないだろう。

従って、緊急だろうが何だろうが、夜間、望んだ専門の医師がいる可能性はむしろ低いのである。
だから、10も20も病院に受け入れを問い合わせても、全部が希望の医師がいるとは限らないのだ。
そこで、例えば10問い合わせたら、希望科の医師がいるかどうかで、まず受け入れ可能な病院の数が減る。

次に当直医は何のためにいるのか?
救急医と当直医の区別がついてない人が多いような気がするが、実は全然違う。
本来、当直医とは「入院中の患者に対応するため」にいるのだ。
救急患者を診るためじゃないのだ。

そして、救急受け入れをする病院は、本来、救急医と当直医は別に用意すべきらしい。
当直医の業務を思えば当然だろう。
しかしながら、そんなに医師を何人も用意できる病院は少ない。
昼間でも足りない医師が、夜足りる訳がないのだから。
その結果、うやむやのうちに当直医が救急患者まで診る羽目になるらしい。
だから、当直医は眠れない。
眠れないまま、翌日の勤務に入る。

さて、沢山病院があるのに、どこでも医師が忙しいなんてはずがないから、医師の怠慢か悪意だと主張する人がいる。
それは、救急患者を診ることが当直医の仕事だと思っているからだ。

だが、当直医の仕事は、本来入院患者を診ることなのだ。
そして、入院患者ってことは、当然入院する必要があるくらい重病だということだ。
当然、夜間急に悪化することも多いだろう。

つまり当直医は、急患が来なきゃ暇って訳じゃないのだ。
どころか、誰一人来なくても入院患者の治療をしていて忙しい可能性が高いのだ。
この時点で、問い合わせた数の内、幸いにも専門の医師がいた中で、更に医師の手が空いている病院の数は半減しかねないだろう。

そして、次の問題だ。
救急ってのは、どこでも行っていいものじゃない。

急患といっても、重症度はピンキリだ。
ちょっと風邪気味で咳が出るって人から、脳卒中で意識不明という人まで様々だ。
しかし、医師は全部に対応できる訳じゃない。
風邪は診られるが、脳卒中は専門外だから診られないなどとなり、一般に重症であればあるだけ、その治療ができる医師は減る。
当然だろう。それだけ難しいのだから。

更に、病院の設備の問題もある。
例えば手術が必要な患者なら、手術室がある病院じゃないと受け入れられない。
これまた当然だ。

だから、重症患者を診ることのできる医師がいて、設備がある病院は少ない。
そういう病院と医師のところに、軽症の患者がわんさと押しかけていたら、本当に必要とする重症の患者が治療を受けられなくなる。
これを防ぐために、救急は一次、二次、三次と分けられているのだ。
三次の病院なら、軽症の患者も診ることができるだろうが、それを可能だからと受け入れていたら、本当にそこでないと対応できない重症の患者が来た時に困るから、受け入れてはいけないのだ。

従って、救急の搬送先を探す場合、当然、重症度にあった病院から探さなくてはいけない。
近くに(建物が)大きい病院あるのに何でそこは受け入れないんだと言っても、無意味なのはこれがあるからだ。

問題はこれだけじゃない。
医師が一人いれば、どんな患者でも診られると思っている人がいるようだが、とんでもない。
風邪なら一人の医師で十分だろうが、重症になればなるだけ、つまり緊急時ほど、沢山の人手がいる。

それに医師には専門がある。
何から何まで診られる医師なんて、マンガの世界の話だ。
交通事故で怪我をし、手術をするなら外科医、麻酔科医が必要だし、外科医だって、専門別に分かれている。
怪我した場所によっては脳外科医、整形外科医が必要だろう。
怪我人が妊婦なら産婦人科医が必要だし、子供が早産しそうなら、小児科医も必要だ。
火傷していれば皮膚科医が必要で、眼を傷つけていれば眼科医…挙げていくとキリがない。
どの科の医師が必要なのかはそれぞれだろうが、重症、緊急の患者を何時でも一人の医師で診られる訳ではないことだけは確かだ。

しかも。救急の搬送依頼が入る時点では、正確な診断はついていない。
当然だ、まだ医師が診察してないのだから。
だから、その時分かる数少ない情報から、どれだけの医師が必要か、設備が必要かを見積もって引き受けるかどうかが決定されるだろう。
もしかしたら、医師が一人で十分かもしれないが、逆に何人も色々な科の医師が必要な可能性もある。
後者の可能性が高そうなら、一人しかいない医師は引き受けられない。
引き受けてから、もっと医師がいないと治療できないとなっても困るのだ。
それから、改めて救急車を呼び直し、病院を探し直すのは時間の無駄でしかないし、最悪手遅れになる。
従って、後から結果を見て、一人の医師が空いていたのだから受け入れるべきだったとは言えないのだ。
それだけでは不足という可能性が高かったということなのだから。

更に更に。当然、看護師も必要だし、検査技師も必要だ。
看護師だって、入院患者が急変していたり、他の急患が来ていれば忙しいから足りない。
夜間、検査技師も当直している病院も少ない。
医師が一人いりゃいいってもんじゃないのである。
それらも十分に人手があって初めて、患者の受け入れが可能となる。

夜間、複数の、しかも必要な科の医師を待機させることが出来、かつ、それらの医師の手が空いていて、しかもベッドが満床ではないという病院の数は、10問い合わせた中で、一体幾つ残るだろう?
さあ、これでもまだ10も20も問い合わせて、全部の医師が忙しいなんてあり得ないと思うだろうか?
他の患者の治療を放り出して、急患を受け入れなかった医師は、悪人だとなお言うのだろうか?

医師が忙しいということは、他の誰かが治療を必要としているということだ。
医師は分身なんか出来ないのだから、一人治療していたら、他の人は治療できないのである。
そんな当たり前のことにさえ気付かないのだとしたら、あまりに近視眼的だろう。
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