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モラル崩壊は誰にとっての問題か
2007年 10月 11日 |
<未収金>うわさ拡大し5770万円に 浜松の病院 by エキサイトニュース(毎日新聞)
暴言患者、拒めぬ医師「診療義務」法の壁 by YOMIURI ONLINE(読売新聞)

未収金と暴言という異なる側面だが、どちらの記事も、患者のモラル低下と診療義務について述べられている。



毎日新聞によれば、浜松では、「県西部浜松医療センター」について、「公的な病院だから医療費を払わなくても受診できる」とのうわさが広まっており、支払いを拒否する人が増えているという。
病院は市が設置しており、市健康医療部の担当者によると、数年前から「あの病院はお金を払わなくても平気」「昼より夜に行った方がいい」などといううわさが流れ始めた。 〜中略〜 支払いを督促しても「どうせ税金で何とかなるだろう」などと拒否され、中には出産で入院中にこっそり抜け出して行方不明になる人もいるという。

一方で、読売新聞によれば、極端な暴言や迷惑行為を行う患者であっても、「診察治療の求めがあった場合、医師は正当な理由がなければ拒んではならない」という医師法の診療義務が壁になって、迷惑患者の診療を断れないという。
診療義務が争点となった裁判では、1997年に入院患者の退院を求めた病院側の請求が退けられたケースがある。
 裁判所は「患者やその家族が看護師に包丁を見せたり、ナースコールを1日80回以上も鳴らしたりして、病院の業務を著しく妨害した」と患者側の悪質行為を認定する一方、「退院を強制すれば、入院が必要な患者にその機会が保障されないことになりかねない」と指摘した。

何れの問題についても、問題解決の壁の一つとなっているのが、診療義務であることは同じだ。
結局、どんな我が侭を言っても、問題を起こしても、金を払わなくても、診療を拒まれることはない、診療義務がある以上、病院は泣き寝入りで引き受けざるを得ないのだからゴネ得、という甘えが、問題の根にある。

診療義務の見直しについて、毎日新聞の記事では
厚生労働省「医療機関の未収金問題に関する検討会」委員、山崎学・日本精神科病院協会副会長の話 給食費や保育料と同様に、医療費も確信的に払わない人が多い。こうしたうわさはすぐに広まりやすいと思う。個々の病院だけでは解決しないので、金を払わない人にも診療する義務のある現在の制度を含め、法律などの見直しを国に訴えたい。
このように、診療義務見直しをという声が出ているのに対し、読売新聞の記事では
森谷和馬弁護士(第2東京弁護士会)は「病院は患者の健康を守る使命を持つサービス業であり、診療を拒否した場合、世間などからの非難は避けられない」と、診療義務を重視する。これに対し、島田和俊弁護士(大阪弁護士会)は「患者側にも診療に協力する義務があり、患者の振るまいによって信頼関係が著しく損なわれた場合などは診療契約を解除できる。病院に甚大な不利益があった場合は、治療の必要性が軽微であれば、必要な手続きを踏んで診療拒否に踏み切るべきだ」と話している。
このように、見解は二分されているという。

この論調からすると、診療義務を見直すにしろ、見直さないにしろ、どちらも、医療側対患者という視点でのみ語られているのが印象深い。
だが、本当に、その視点は正しいのだろうか?

私は、そもそも「モラルのない患者」対「その他の患者、社会」という側面をこそ重視すべきだと思う。
何故なら、迷惑行為を行う患者にしろ、支払いを拒否する患者にしろ、限られた医療資源を無駄に使わせ、現場に負担をかけて、他の患者に割くべきゆとりを失わせ、また減らされる一方の医療費に潰れかかっている病院を更に追い詰めるという点で、最大の被害を被るのは、善良な多くの患者だと思うからだ。

飛び込みできた挙げ句に、支払いを拒否して逃げる産婦がいれば、妊婦の緊急搬送を受け入れる病院は減るだろう。
未収金が増えて病院が潰れれば、困るのは、その地域に住む人々だ。
公的な援助で病院を支えるとすれば、その援助のお金は税金から出る。
病院内で騒がれれば、病気で辛い思いをしている他の患者に迷惑だ。
ごねて暴れたり、暴言を吐く患者は、当然、なだめるのに時間がかかるだろうから、他の患者は待たされる。
万一、医師や看護師が怪我でもすれば、他に急患がいても、そこで診療はストップしてしまう。
騒ぎに他の患者が巻き込まれて怪我する危険さえある。
疲れ果てた医師や看護師が辞職すれば、ただでさえ足りない人手が更に減り、ますます患者は待たされる。

これでは、真面目にお金を払い、我慢してルールを守っている患者が損をするばかりだ。
法的な足枷をそのままにして、医療側の努力でどうにかしろなどと言っても、上記引用部の裁判のように、現行のままでは違法と判断されかねない行為になってしまうのなら、それは無理だ。
ならば、こういった問題のある患者に対しては、まず社会が、迷惑だと声を上げるべきだろう。
医療というものが、国民にとって大事な資源であるならば、それを疲弊させるような一部の問題ある人に対し、社会が規制を訴えるべきだ。
診療義務が壁となって、問題ある患者に適切な対処をとることが出来ずにいるなら、病院の運営を妨げる患者は拒否できるよう、法の見直しを、国民が訴えるべきだろう。

そして、マスコミもまた、一部の不心得者と病院という、多くの人にとって他人事的な構図だけで問題を描くのではなく、一部の心ない人の行為が、その他の多くの人、社会にどう影響するのかという視点で見つめる姿勢が欲しい。

*****************記事全文******************
<未収金>うわさ拡大し5770万円に 浜松の病院 [ 10月11日 03時03分 ] 毎日新聞

 浜松市中区の総合病院「県西部浜松医療センター」(脇慎治院長、606床)で06年度、患者からの未収金が5770万円に上り、同年度末の累積債権が9189万円にもなっている。市内では「公的な病院だから医療費を払わなくても受診できる」とのうわさが広まっており、それが一因という。市から運営を委託されている市医療公社は「一部の不払い者のせいで医療サービスに影響が出かねず、ゆゆしき事態だ。市の債権回収対策課と連携することも検討しており、悪質なケースには強い態度で臨む」としている。

 病院は市が設置しており、市健康医療部の担当者によると、数年前から「あの病院はお金を払わなくても平気」「昼より夜に行った方がいい」などといううわさが流れ始めた。特に06年から激しくなったといい、会計処理のできない夜間や救急での診療に対する支払いを督促しても「どうせ税金で何とかなるだろう」などと拒否され、中には出産で入院中にこっそり抜け出して行方不明になる人もいるという。

 未収金は、04年度3200万円、05年度3850万円と増え続け、06年度5770万円に。07年度も減る気配はないという。

 明らかになっている06年度の累計は、決算時点で時効になっていない04~06年度分の患者593人分で、1人当たり約15万5000円。外国人とみられる患者も72人おり、医療費が高額になりやすい産婦人科の未収が目立つという。

 同病院の年間収入規模は06年度は124億円で、直ちに経営に支障が出るわけではないが、市医療公社は「このまま増えれば、必要な資材が買えないだけでなく、職員の給与にも響きかねない。回収も強化するが、受診者のモラルにも訴えたい」としている。医師法は、医師は訪れた患者の診察を原則断れないと定めており「持ち合わせがない」と言う患者がいた場合はクレジットカードがあるかを聞いてカード払いの導入も検討している。【竹地広憲】

 ▽厚生労働省「医療機関の未収金問題に関する検討会」委員、山崎学・日本精神科病院協会副会長の話 給食費や保育料と同様に、医療費も確信的に払わない人が多い。こうしたうわさはすぐに広まりやすいと思う。個々の病院だけでは解決しないので、金を払わない人にも診療する義務のある現在の制度を含め、法律などの見直しを国に訴えたい。
暴言患者、拒めぬ医師「診療義務」法の壁

「迷惑どこまで我慢」
 医師や看護師が患者による暴力や暴言に悩んでいる問題で、度を越した場合に医療機関が診療を拒もうとしても、医師法で診療義務を課されているため、断念するケースが出ていることが分かった。

 病院からは「毅然(きぜん)とした対応が取りにくい」という声が上がるが、厚生労働省は患者のモラルを理由とした診療拒否に慎重な姿勢を崩しておらず、法律専門家の見方も分かれている。

 「診察治療の求めがあった場合、医師は正当な理由がなければ拒んではならない」。医師法では診療義務をそう規定している。「正当な理由」とは、医師が病気の場合などに限られるというのが、厚労省のこれまでの見解だった。

 診療義務が争点となった裁判では、1997年に入院患者の退院を求めた病院側の請求が退けられたケースがある。

 裁判所は「患者やその家族が看護師に包丁を見せたり、ナースコールを1日80回以上も鳴らしたりして、病院の業務を著しく妨害した」と患者側の悪質行為を認定する一方、「退院を強制すれば、入院が必要な患者にその機会が保障されないことになりかねない」と指摘した。

 昨年、九州のある病院では、胃腸の病気で入院した高齢の男性患者が消灯後に大部屋でテレビを見るなど、迷惑行為を続けた。

 病院では執行部が検討を重ねたが、医師法で診療義務が定められている以上、退院は強制できないとの結論に達し、「ルールに従わないのなら治療は続けられません」という警告にとどめた。

 しかし、患者の行動は改善されず、女性看護師を突き飛ばして転倒させる騒ぎまで起きた。最終的には自主的に退院してもらったが、病院の医師は「迷惑行為をどこまで我慢すべきか、判断するのに相当の時間を費やした」と振り返る。

 神奈川県のある私立病院は数年前、手術後に両手足のしびれが残った入院患者の家族から抗議を受けた。その内容は次第に、医師や看護師の外見に関する中傷へとエスカレート。暴言で傷つき、辞職した看護師は5人を超えた。

 病院側は弁護士に相談し、クレームの記録を取ったり、自主退院を促す誓約書を渡したりしたほか、行政や警察にも相談した。その上で、「患者の家族の暴言など一連の行為が、(診療拒否できる)正当な理由に当たる」と最終的に判断し、入院から3年半後に強制退院の手続きに入った。

見解は二分
 読売新聞が全国の大学病院を対象に実施したアンケートでは、「医師の診療義務を盾にとる患者が増えている」(近畿地方の病院)、「診療拒否権が認められておらず、医療者側があまりにも法的に守られていない」(首都圏の病院)などの声が寄せられた。

 厚労省によると、モラルに欠ける患者への対応について、病院から、「一定の限度を超えたら診療拒否できる、というような基準を設けてほしい」などと要望されることもあるという。しかし、同省は「患者側の立場を不利にするような解釈も生じかねないため、一律の基準を設けることは難しい」とし、「診療義務は社会的に定着しており、現行法の枠組みを変えるべきではない」との立場だ。

 医療訴訟に詳しい弁護士の間でも意見が割れている。

 森谷和馬弁護士(第2東京弁護士会)は「病院は患者の健康を守る使命を持つサービス業であり、診療を拒否した場合、世間などからの非難は避けられない」と、診療義務を重視する。これに対し、島田和俊弁護士(大阪弁護士会)は「患者側にも診療に協力する義務があり、患者の振るまいによって信頼関係が著しく損なわれた場合などは診療契約を解除できる。病院に甚大な不利益があった場合は、治療の必要性が軽微であれば、必要な手続きを踏んで診療拒否に踏み切るべきだ」と話している。

(2007年10月10日 読売新聞)

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