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by catsmoon
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大野病院事件判決と報道に思う
2008年 08月 21日 |
8/20 大野病院事件で無罪判決が出た。
至極真っ当で当然の判決であり、内容だと思う。

病によって亡くなった方には哀悼の意を捧げ、ご遺族にはお気の毒に思う。
同時に、加藤医師には、ミスでないことが認められたこと、心からおめでとうございますと申し上げたい。
検察は、控訴しないで欲しい。

さて無罪は喜ばしいが、控訴については別にして、加藤医師の名誉が回復されたかを考えた時、疑問を感じる。
この判決に対する報道を見ていると、判決で否定された起訴状の内容をまだ繰り返すものが多く、まるでミスしたのに不当に無罪判決を受けたかのように見えるからだ。



私は大野病院事件に関心があったから、裁判の経過などの記事も読んできたので、今回の無罪判決は、要するに警察や検察が主張した「加藤医師のミスだ」という点が否定されたからだとわかる。
でも、そうじゃない人には、起訴状の内容が事実なのだと読まれるだろう。
私だって、この事件に関心がなかったら、こういう報道を読めば、そう理解した。
それで無罪と言われれば、だってミスはしたんでしょ、それで無罪なのはおかしい!やっぱり医師は守られて、患者は弱者で、正しい裁判はしてもらえないんだと思ってしまう。

だが、そうじゃない。
無罪になったということは、裁判で双方の話を聞き、証拠を見比べて判断したところ、起訴状の内容が全てあるいは一部、少なくとも大事な部分が「違う」と判断されたということだ。
要するに、病死であって、加藤医師はミスしてなかったと判断されたということ。
判決でミスじゃないと言われてるのに、わざわざミスがあったと誤解されそうな内容を繰り返して報道し、判決では何故ミスが否定されたのか説明されているのに、そっちは報道しないって正しい報道姿勢なのか?

私が判決要旨について理解したことを物凄く砕いて書いてみると…。
(私なりの理解で、原文の言い換えではないので、間違った解釈もあるかも)
胎盤を剥がせば大量出血する可能性があるのは、加藤医師にもわかってたろうね。
だって貼り付いてる胎盤を剥げば出血するだろうってのは普通にわかるし。
そりゃ、可能性で言えば、違うやり方をしてたら助かってたかもしれないという可能性はあるよ。

(胎盤を剥ぐと子宮が収縮して、それ以上の出血が止まることが多いから、いきなり子宮を取っちゃうんじゃなくて、まずは剥いで止血を試みて、どうしても駄目だったら子宮を取るのが普通らしい。
検察の言い分は、子宮を残して止血できるかもしれないものを、有無を言わさず、いきなり子宮とっちゃうべきだったってことだけど、命が助かる可能性は確かにあったろうね。
可能性って言うなら、同じように胎盤を剥ぐ方法だって助かる可能性はあったんだけどね)

亡くなったのは、出血によるショックが原因だろうけど、加藤医師のしたことはミスじゃなかったよ。
そういう場合に、一番一般的な治療を加藤医師はしたけど、非常に珍しくて重い病気だったから沢山出血しちゃって、がんばったけど助けられなかったということだよ。

検察は、出血の可能性があったんだから即子宮摘出すべきだったとか色々言ってるけど、そういう治療が選ばれている実例すら出せなかったよね。
検察が出した証人は産科が専門じゃなくて、こういう病気の治療経験もない癌なんかが専門の医師でしょ。
でも、弁護側が出した証人は、産科専門のベテランの医師で、皆、普通の治療だって言ってたしね。
どっちが一般的治療だったかは、誰でもわかるよね。

医師の義務だー、違反したら罰だーって言いたいならね、「ほとんどの医師が、こういう時は普通こうする」ってくらいに当たり前のことを、被告がしなかったっていうんじゃないと駄目でしょ。
激レアなケースとか、可能性だけを持ち出して、そっちなら成功してた"かもしれない"ってだけで、ミスって言わないから。

それをさ、検察は、加藤医師の方法は"一部の"本に書いてることと違う(患者が違えば状況が違うんだから、同じ病気でも違う治療法を書いてる本くらい、探せばそりゃあるし)ってだけで、検察の言う方法が一般的だっていう例も出せないで、ただミスだー、犯罪だーって。
そんなこと言ってたら、医療現場なんか何も決められなくなって、えらいことになるでしょ。

大体ね、医療に命の危険が伴うのも、やってみるまで結果はわからないのも当然でしょ。
そもそも病気なんだもん。
ミスだって言うからには、医師がすることの危険と、しない時の危険を、両方とも具体的に比較した上で、もっと良い方法があったって立証しないと駄目っしょ。
別のやり方で実際にもっとうまくいったっていう具体例を、それも例外じゃないと言えるくらいの数を出さないと立証したって言えないよね。
でも、検察は具体例なんか一個も出せなかったじゃん。
つまりさ、このやり方はミスだったって言うけど、全然、証明できてないじゃん。

これだけ検察は何も証明できなくてさ、逆に普通の治療だったってベテランの意見はあってさ。
だったらミスじゃないんだってことでしょ、普通。

これは、常識的な治療をしたけど、病重く助からなかったってことなんで、病気で死ぬのは、ミスでも事件でもないんだから、異常死の届け出しなかったのも当たり前だよね。

だから無罪
えー、物凄く常識的で正しい判決だと思う(私の解釈が正しければだが。何せコピペで読んだ原文は凄く持って回った言い方で、小難しいもので)

ここまで加藤医師のせいじゃないと言われてるのに、なお加藤医師のせいだと思わせかねない報道を繰り返すマスコミは、魔女狩りがしたいだけだとしか思えない。

何か期待通りにいかないことが起こった時、どうして上手くいかなかったのかを考えるのは大事だ。
だが、それは次は上手くやれるように、その参考とするために、よりよい方法を考えつくための礎として考えることに意味がある。
不運に納得いかない感情のぶつけ先を探すためではない。
だから「なにが」悪かったのか考えるのは必要だ。
だが、その「なにか」は、人ではないことも多いのだ。
この事件では癒着胎盤という病だ。
お産が母子共に命を危険に晒す必要のある出来事だという、人間の生物としての摂理だ。
更に言うなら、そういう難しい時に沢山の医師の助けを得られない状態、医師不足を招いた国の政策だ。

なのに「なにが」を考えることを「だれか」を探すことと同義だと思いこんでいるマスコミが多すぎる。
「なにか」のせいではあっても「だれか」のせいではないことを、無理矢理「だれか」のせいにするなら、それは事実を歪めるリンチに過ぎない。
マスコミは、もう一度、自分達の姿勢を見直して欲しい。
(本音で言えば、間違った思いこみを垂れ流すくらいなら、もういいから黙ってろと言いたいくらいだが)

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